新潟県、クルーズ船誘致に力             観光や買い物…受け入れ態勢課題

2019年2月20日ニュース
新潟開港150年となった2019年、県がクルーズ船の誘致に力を入れている。今年春には約4千人が乗船する世界最大級のクルーズ船が、新潟東港に初めて寄港する予定。この船を含め、年内に少なくとも25回の寄港が計画され、過去最多だった18年を上回る見込みだ。大量の外国人が一気に訪れることが予想される。ただ、誘致で先行する近隣県に比べ受け入れ態勢の整備はまだ途上だ。魅力的なツアーの組み立てや、スムーズな誘導方法など、本県の“おもてなし力”を探る試金石となりそうだ。

 県港湾振興課によると、19年中に県内に寄港予定のクルーズ船は新潟西港が12回、新潟東港が3回、佐渡(両津、小木、二見港)が10回の計25回。過去最多だった18年の22回を上回る。計画未発表の船もあり、今後も増える見通しだ。

 クルーズ船の誘致に力を入れるのは、大量の外国人富裕層を一気に受け入れられるからだ。県などの調査では、過去に大型クルーズ船が寄港した際、土産物の購入などで乗客1人当たり約8千円を使ったと推計される。数千人が乗る大型クルーズ船の場合、数千万円規模の経済効果が見込まれるという。

■近隣に遅れ

 本県では14年にクルーズ船の受け入れが始まった。16年は15回、17年は18回、18年は22回と順調に伸びている=グラフ参照=。しかし、近隣県に比べると遅れを取っている。
 日本海側では金沢港が16年は26回、17年53回、18年44回とずばぬけて多く、19年も本県の倍の50回以上を予定する。港から5キロ圏内に兼六園があり、「日本らしさ」を前面に出した観光周遊ルートが外国人富裕層に人気だという。

 秋田県の秋田、能代、船川の3港も過去3年で計63回と本県の計55回を上回っている。18年に秋田港に乗客向けの土産物屋や観光案内コーナーを設けた「クルーズターミナル」を整備して利便性を高めており、19年は3港で28回の寄港を見込む。

 遅れを取り戻そうと、県は新潟東港を改修し、着岸できる船を14万トン級から17万トン級まで引き上げた。19年度当初予算案ではクルーズ船誘致推進事業として、18年度から90%以上増額した1775万円を計上し、誘客を強化していく。

 こうした取り組みもあって、世界最大級のクルーズ船で県内初寄港となる「クァンタム・オブ・ザ・シーズ」(16万8666トン、定員4180人)が4月30日に寄港することが決まった。これまで最大だった17年寄港の「セレブリティ・ミレニアム」(9万963トン、同2300人)と比べても、はるかに大きい。

■対応手探り

 ただ「経験のない大きな船」(県港湾振興課)を、どう迎え入れるかが課題となっている。同課の小林智課長は「上海発着で、中国系の乗客が多いと聞いている。ニーズに合わせた対応が必要だ」と指摘。船会社や新潟市、旅行代理店とともに対応を検討している。

 寄港時間は午前10時半~午後6時半。中国系の訪日客は買い物を好むため新潟ふるさと村(新潟市西区)などへの送客が想定され、新潟市中央区の旧斎藤家別邸や古町花街を巡るツアーの人気も見込めるという。

 受け入れ態勢の充実に向け、新潟市は東港と市内を結ぶシャトルバスを運行する。古町や万代地区などには臨時の観光案内所を開設。市職員や通訳案内士、地元の大学生が対応し、市街地の活性化を狙う。

 一方で大型連休と重なることもあり、東港を出入りする多くのバスがスムーズに移動できるのかなど、準備は手探りの部分も多い。小林課長は「他港との競争が激しくなる中、大型船を滞りなく受け入れられるか、今後の試金石になる」と述べた。


【社会】 2019/02/20 15:05 新潟日報モア