金融機関、キャッシュレス普及に力 新潟県内 IT企業と相次ぎ連携

2019年3月19日ニュース
新潟県内金融機関がQRコードなどを使ったキャッシュレス決済の普及に力を入れ始めた。県内全9信用金庫がスマートフォンの決済サービス「オリガミペイ」の普及拡大を進めるほか、第四銀行(新潟市中央区)と大光銀行(長岡市)も、みずほ銀行が展開する「Jコインペイ」への参加を決定。使用データに基づく誘客などで経営支援につなげたい考えだ。新サービスには流通や通信など異業種の参入が相次いでおり、金融機関として決済分野を守りたいとの思惑もにじむ。

 「端末の導入・維持費用がほとんど掛からず、簡単に始められます」。2月末、村上信用金庫が村上市で開いたセミナーで、オリガミの担当者がスマートフォンやQRコードを示し、決済方法を説明した。

 オリガミはクレジットカードのような端末整備が不要なほか、中国の同様のサービス「アリペイ」とも提携し、インバウンド(訪日観光客)に対応できる。セミナーに参加した同市の小売業者は「消費税増税に伴い、キャッシュレス決済によるポイント還元が始まれば一気に普及するのではないか」と関心を寄せる。

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 キャッシュレス決済はソフトバンクとヤフーが出資する「ペイペイ」やLINEの「ラインペイ」、メルカリの「メルペイ」などが続々と参入し、さながら戦国時代の様相だ。背景には、誰がどこで消費したかという「ビッグデータ」を蓄積し、サービス拡充や新たなサービス展開で他に先んじたいとの狙いがある。

 例えばオリガミペイの場合、利用者データの一部を、加盟店の顧客開拓や経営改善に生かせる。加盟店はアプリの地図上に店の場所や情報が表示できるほか、利用者に向けたメッセージやクーポンを送付できる。会計の省力化に加え、宣伝や集客のツールにもなる。

 オリガミと信金中央金庫(東京)は昨年、資本・業務提携し、加盟申込店は全国で3万社に達する見通し。県内では新潟信用金庫(新潟市中央区)を皮切りに全9信金が信金中金と連携して普及を図る方針で「点から線、面へと広げ地域を活性化させたい」と意気込む。

 ただ、加盟店は決済手数料3・25%を支払う必要がある。新潟市のイタリア料理店「タヴェルナキアッキエリーノ」の山田清人オーナーシェフは「導入を検討中だが、手数料がネック。自治体が導入を支援するなど、地域全体で取り組むなら考えたい」と慎重だ。


◎決済分野「死守」へ危機感

 金融機関がキャッシュレス決済に取り組む背景には、元々手掛けてきた決済分野に他業種やベンチャー企業が次々に参入していることへの危機感がある。消費者が異業種のサービスに流れてしまえば、口座を置くことによる預金確保や消費状況の把握に影響を及ぼす可能性もある。金融機関にとって主要機能の一つである決済分野は、死守したいところだ。

 第四銀と大光銀が導入準備を進める「Jコインペイ」は、全国の多くの金融機関が参加予定で、幅広い地域で利用できる利点がある。第四銀の担当者は「全国の地銀が加盟店を開拓すれば、他に負けないものになるはずだ」と強調する。

 大光銀はそのほか、「メルペイ」のチャージサービスも開始。「ニーズに合わせて多様な決済手段を用意し、利用者の利便性向上を図る」としている。

 一方、北越銀行(長岡市)は長岡市と連携し、事業者や商店主の理解が進むようセミナーなどを開き、導入拡大へ機運醸成を図る。

 県内で2014年、クレジットカードなどの決済率は14・3%にとどまり、キャッシュレスが一気に拡大するかは不透明だ。

 信金担当者は「全国では官民が連携して普及を進めている地域もある。消費税増税を控える今、積極的に動かないと全国の流れから取り残されてしまう」と危機感を抱く。地銀関係者は「どの決済手段が生き残るかは見通せないが、流れに乗ってインフラを整えないと、戦いの土俵にすら上がれなくなる」と気を引き締める。

【経済】 2019/03/15 12:12 新潟日報モア